勝手に珈琲豆を贈る

 珈琲の焙煎を始めて半年くらい経つので、一度覚え書きを残しておこうと思う。

 

 まず、慣れてきて思うのは、珈琲豆を焙煎するときは、焙煎自体よりもハンドピックの方が個人的には大変だと言うこと。体系的にどこかで習ったわけではないので、まずどの豆を避ければいいのか、これが分からない。

 

 自分でちょこちょこ調べた限りでは、避けるべき豆の状態や、種類などがたくさんありそうなのだけど、その辺を覚えるのは正直めんどっちい。一番ぴんと来たのは、取りあえず他とは違う豆を避けておく、というもの。

 

 ただ、これもあまり徹底してやり過ぎると、焙煎する前に気力がなくなってしまうし、出来上がりの豆がどんどん減っていってしまって悲しい。なので、暫定の自分ルールとして、トレイを一回全体的に確認して、逆さまにしてもう一回見たら終了、としている。それでいいのかはよくわからない。たぶん、間違っている。

 

 私は手網で焙煎しているので、ハンドピックが終わったら生豆を入れて焙煎するのだけど、これも焙煎方法に悩むより、厄介な問題が発生することが、やっていてわかった。

 

 まず、なんと言っても煙とそれに伴う匂いの問題が大きい。

 

 キッチンのコンロで焙煎していると、換気扇の強なんてまるで役に立たないくらい煙が発生する。一度うっかり換気扇を回さず焙煎したときは、部屋の火災報知器がけたたましく鳴りだして、非常にびびった。窓を全開、換気扇強にしていても、部屋の煙が落ち着くのはしばらく時間がかかる。

 

 それに加えて、匂いの問題がある。煙臭いわけでは全然ないのだけど、珈琲の香りは強烈に漂う。残る残らないの話で言うなら、こっちの方が煙よりもしつこいかもしれない。一人暮らしならまだしも、同居人がいるのならば、快適な焙煎ライフのためにも、常に美味しい珈琲を淹れることで、日々説得を続ける必要が出てくるだろう。

 

 ただ、この辺りの問題を何とか突破していけば、珈琲豆焙煎は非常に楽しめる遊びだと個人的には思う。豆の種類、焙煎の具合、豆の挽き方、珈琲の抽出方法で、出来上がる珈琲の味は様々に変わる。自分自身の味の楽しみ方が広がっていくのは嬉しいことだし、少しずつ技術的に慣れていって、出来上がる珈琲の質が上がっていくのも喜ばしいことだ。

 

 後は自分だけで楽しむのではなく、一緒に楽しんでくれる人がいれば最高なのだけど、もしそれが叶わないのだとしたら、勝手に珈琲豆を贈る人になっても面白いのかしら、とは思う。