祈り

 私が誰かのために祈るとき

 祈りは私のための祈り

 誰かが私のために祈るとき

 祈りはその人のための祈り

 祈るとは何なのか

 私は私の世界で生きている

 それがすべて

 他には何もない

 手を伸ばして触れることができる

 小さな世界

 そこで今も生きている

 生きることは応じること

 最初に投げかけられた言葉

 それに応じて私は生きている

 そこに意思はない

 ただ音が響いている

 偶然そこで鳴っている

 それが私

 最初の言葉は届いていない  

 届いた言葉は嘘

 誰のためでもない

 誰にも届けない言葉で祈る

 誰かの祈りを消してしまわないように

 祈りに応じるものは

 私しかいないのだから