溶けだしたものが 染み込んで ぐしゅぐしゅたてる 音が聞こえる 眩しくて 浮かぶ身体が膨らんで 悲鳴をあげた午後は暗い いつまでもこうしていたいと 雨の中で君が探す傘は 黒から青へと移りゆく ほどけたさびしさよ 一番きれいなのは君だ

しずかな時 リズムを刻む心音 青いい影ひとつ 自身に問う その荷を背負い その荷を運んでゆくか 忘れられ ただそこにあったのだ 決して戻らぬ 彼方へ向かう憧憬が 道におかれた物へ 眼差しをむける人 道におかれた声へ 耳をかたむける人 おまえの言葉に 夢は…

残影

書くなといわれ わたしは書いた 手の届く広さで 微かな音を聞く 手放したのは言葉 吹き抜けたのも言葉 開いたてのひらを じっと見つめ その痕跡を いつかの景色 いつかの声 思い出せ 忘れるために 刻み込め 手放さないため わたしを見ている あなたのために …

ぼんやりしていたことに はっと 気がついた ここはどこだろう どれぐらい こうしていたのか 目が覚めると 知らないところにいて 知らないひとたちと 知らないことをしている あれ 次はなにをするのだろう 何もわからず わからなくて 焦りが 世界を白くする …

言葉

言葉に助けられ 言葉に支えられ ここまで歩いてきた ずっと探している言葉 わたしだけの言葉 どれだけの言葉を写せば わたしの言葉を見つけられるのか 言葉は訪れ去っていく 内から湧き出る言葉など 何一つとしてないわたしに 誰かが訪れ去っていく (待って…

痛みで涙を流すとき それはあなたの痛み わたしは涙を見つめる 雫は表現の手段 痛みそのものはあなた あなただけのもの わたしも涙を流す それはわたしの痛み 痛みは伝わったのではない 人の痛みを痛むなど どうしてできるのか! 痛みを表現できるのは 一人…

夜を超えた向こう側にある夜に行こう ねえ ずっと夜だったらいいのにね 朝は嫌い 起きられないんだもの ぴかぴか光るし きっと目にも悪いよ 夜は優しい お月様は眩しくない 雨が降ってきたけど平気 歩こう ねえ この先には朝があるのかしら あの雫だって 大…

祈り

私が誰かのために祈るとき 祈りは私のための祈り 誰かが私のために祈るとき 祈りはその人のための祈り 祈るとは何なのか 私は私の世界で生きている それがすべて 他には何もない 手を伸ばして触れることができる 小さな世界 そこで今も生きている 生きること…